私にとって、忘れられない不倫相手はHさんだ。
どれだけ傷ついても、どれだけ酷い事をされていたとしても忘れられない。
ふとした時に思い出してしまう。
他の不倫相手だった人はほとんど思い出さないのに、Hさんの事はよく思い出す。
待ち合わせした場所の近くを通った時。
一緒に聞いた曲が流れていた時。
すれ違わないかなと思って、対向車を見てしまったり。
買い物に行って、偶然会わないかなと思ったり。
Hさんと別れて5年以上が経つ。
車ですれ違った事はあるけど、偶然会った事はない。
会いたいような、会いたくないような。
やっぱり、本当に好きだったのかな。
あんなに辛かったのに、今では良い思い出しか浮かばない。
美化されてるのかもしれないけど、辛かった事より楽しかった思い出や、ドキドキした事、切なかった事、キュンとした事、そんな事ばかり思い出す。
今さら会ってどうするとも思う。
思い出話をして終わり?
いや、もしかしたら期待しているのかもしれない。
まだもしかしたら好きで居てくれてるのかな?
そんなわけないか。
私の事、たまには思い出してくれてるのかな?
とっくに忘れてるよね。
そんな風に思ってしまう。
もし会えたら、聞きたい事はいっぱいある。
私の事どう思ってた?
あの時どうして裏切ったの?
私が妊娠した時、どう思った?
どうして不倫したの?
聞いて何になるとも思う。
けど、Hさんの本心がわからないから、「私の5年間の不倫」は終われないのかもしれない。
いつか会えるかな。
その時は笑って思い出話をして、そして元気でねと言って別れたい。
もし偶然会って、楽しく話せたら戻りたくなるかもしれない。
もう一度Hさんと…なんて思ってしまうかもしれない。
そんな事は絶対にない!
なんて言えない。
Hさんに誘われたら、騙されてるとわかってても、戻ってしまうかもしれない。
それくらい、Hさんは私にとって特別な人なのかもしれない。
不倫で、してはいけない事で、最低な事なのに私にとっては特別で大切な出来事だった。
こんな風に思いを秘めておくしかない。
偶然なんて、あってはいけない。
会わない方が良いに決まってる。
不倫なんて、そもそも納得いくものではないのに、どうしても答えを求めてしまう。
答えなんかない。
聞きたいのも知りたいのも、全て自己満足。
自分の気持ちなんかどうでもいいんだ。