私は彼も友達も許して、今まで通りに過ごしていた。
3人は会社で顔を合わせる。
友達と彼も、私が居ない所で顔を合わせる。
気にしないようにしてても、どうしても気にしてしまう。
私は彼と付き合うようになって、浮かれていたのか考えないようにしてたのか、奥さんの気持ちをわかっていなかった。
奥さんは、彼の不倫には気づいてないようだったが、もし気づいたらとても悲しい思いをする。
私とは比べ物にならない位の、辛い気持ちや悲しい気持ち、悔しい気持ちになってしまうんだろうと思った。
そう思ったのに、やめられない。
別れたくない。
私は、自分勝手な気持ちと行動をやめられなかった。
そして、一度裏切られると信じようと思っても信じられない。
友達の事も信じられない。
許したはずなのに、本当は許してないし、許せない。
再び信じる事なんてとても出来ない。
私はある日の夜、飲み会で出掛けていた。
その帰り、友達と車ですれ違った。
私は疑いの気持ちしかなかった。
もしかしたら会ってたのかもしれない。
やっぱりまだ続いていたのかもしれない。
私は友達にメールをした。
「さっきすれ違ったね。
ごめん。
どうしても疑ってしまう。
どこに行ってたの?」
「違うよ。あれから会ってないし、連絡もしてないよ。
ごめんね。
何でも聞いて。」
と、返信が来た。
私が友達を疑ったからなのか、友達は私に信じて欲しいからなのか、そのメールのやり取り以来、友達から彼の行動を逐一教えてくれるメールを送ってくるようになっていた。
会社で見聞きした事全て。
私は知りたいわけじゃない。
いや、知りたくない。
奥さんと話してた内容とか、家族での行動とか、知りたくもない。
余計に私はしんどくなっていた。
友達から聞く彼の家族はとても仲が良くて、彼から聞く内容とは違っていた。
私はだんだんと、現実が見えてくるようになっていた。
目の前の景色が晴れるかのようにクリアに見えてきたら、あんなに会いたいと思っていたのに、会いたくないと思うようになっていた。
会おうと誘われても、断る事も増えてきた。
彼は、私を楽しませようと、色んなデートの提案もしてくれていたが、私は気乗りしなかった。
私はその気持ちを友達に話した。
「会いたいとか思わなくなってきた。
好きな気持ちはあるけど、会うのがしんどいんだよね。」
「そっか。
会いたくないならムリに会わなくて良いんじゃない?
しんどい思いしてまで会うのは違うよね。」
ごもっともな意見なのに、そんなメールですら、私の為の意見ではないと思ってしまう。
やっぱり二人はまだ繋がってるのかもしれない。
そんな気持ちがどうしても拭えない。
その予感は、当たっていた。