誘われている事に気付いた私は、こう返信した。
「奥さんと一緒に3人でなら行きますよ。」
彼の奥さんは、同じ会社で働いていました。
だから、私も奥さんの事は知っていたし、少しお話した事もありました。
そんな状況で口説かれるとは思ってもいなかった。
どうせ冗談だろうとも思ったし、からかわれているのかもしれない。
本気にしたら、陰でみんなで笑うんだとも思っていた。
彼からの返信は、
「それはイヤだよ。」
「2人で行こう」
私は正直、嬉しさと、行ってはいけない。
行ったらどうなるかは想像できた。
だから、
「かんがえておきます。」
と、返信した。
それから、毎日彼からメールが来るようになっていた。
おはようから家に帰るまでの間、なにげない会話をメールでしていた。
私は彼からのメールを待つようになっていた。
朝いつもの時間、おはようとメールが来る。
そして、いつもの時間に「帰るからまた明日ね」と、いうメールが楽しみになっていた。
今思えば、非現実的で久しぶりに女として見られてトキメイていたのだろう。
それと、いけない事とわかっていながら、彼との秘密を特別な物と勘違いしていた。
会社で彼と目が合って、こっそりメールして、みんなの前では普通にして。
そんな二人だけの秘密が、ものすごい刺激となって、楽しくて仕方なかった。
彼とメールを始めて2週間位経った頃、会社のパーティーが開かれた。
みんな仕事を忘れて、催し物やゲームなどして楽しんでいた。
私も楽しかった。
もちろん奥さんも来ていた。
そんな中、彼からのメールが来た。
「初めて私服姿見たよ」
「とても可愛いよ」
嬉しかった。
もう、その頃の私は彼を好きになっていた。
本当は2人きりで早く会いたかった。
けど、私からは言わない。
「何言ってるんですか」
「奥さんもキレイですよ」
こんな皮肉な返信をした。
私がいくら奥さんの事を言っても彼は聞き流した。
不倫する男。
今ではわかる。
やり慣れていて、女が喜ぶ事をよくわかっている。
私は若かったし、そんな男を知らなかったから、本当に私を好きなんだと信じていた。
そんなわけないのに。
パーティーが終わって家に着いた頃、彼からメールが来た。
「今から会いたい」
ドキッとした。
ストレートに言われて、嬉しくて嬉しくて駆け出して行きたかった。
でも、私は自分を抑えて、
「30分だけなら良いですよ。」
と、返信した。
夫はまだ帰ってこない。
時間はある。
私も本当は会いたくて会いたくて仕方ない。
けど、それを言ってしまったら、止められなくなるのはわかっていたから敢えて冷静にした。
人目に付かない場所で待ち合わせをした。
すでに彼は来ていて、彼の横に車を停めた。